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2012年09月01日(土) by スポンサードリンク [ Edit ]
cetegory : - / - / - / -

ハンバーガーショップ、22:30

 アルバイトの仕事が全部片付いて、帰りのバスが来るまでの時間はハンバーガーショップで過ごした。午後の10時半から11時のあいだ。いつも決まって。

 レジで注文をすると、レジカウンターの隣にあるカウンター席に腰掛ける。ここはすぐ前面がガラス張りになっていて、中でハンバーガーを作る様子が見えるのだ。そうして、店員が運んでくるホットココアを飲みながら、その日持っている文庫本を読んだり、時々頬杖をついてハンバーガーを作るのを見たりする。

 ほんのりと肌寒くなってくるこの時期から冬は、ホットココアを頼むのが常だった。決めていたわけじゃないけれど、いつもなんとなくそうなのだ。
 ホットココアの、上にたっぷり絞ってあるホイップクリームが好きだった。てっぺんの冷たくしっかりしているところをスプーンですくうのも好きだったし、ココアの表面にさらりとひろがるところを啜るのも好きだった。
 馴染んで心地良い場所で、好きなものを飲んで、ほっとする時間。アルバイトの後の小さなご褒美だ。


 その日も、いつもの時間いつものように見慣れた店員たちの並ぶレジカウンターの前に立った。
 いつものようにホットココアを注文して、レジカウンター脇のカウンター席を見ると、後から運んでくるはずのホットココアがもう用意してあるのだ。私が座るいつもの席に。
 びっくりして店員の方を見ると、彼らのニコニコした笑顔にぶつかった。嬉しいいたずらが成功したみたいな、子供みたいな、お日様みたいな笑顔だった。

 すごくわくわくした。


 そろそろ、あの頃と同じ季節になる。






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2006年10月23日(月) by yuri [ Edit ]
cetegory : 場所のはなし / comments(15) / - / -

私たちのきっかけ

 以前に見たテレビ番組で、奥様がダンナ様との思い出の場所に単身行って、ダンナ様が恋人時代の記憶を頼りに奥様を探しに行く、というものがあった。記憶の重みは人それぞれなので、当然すぐに再会できるカップルもいれば、なかなか再会できないカップルもあり…。

 私たちの思い出の場所ってどこなんだろうね。
 ダンナさんの帰宅後、そんな話題になった。

 大学の研究室。同じゼミ生だった。
 海岸。初めて二人だけで待ち合わせをして連れて行ってもらった、夜のドライブで。
 大学の近くのビリヤード場。私にビリヤードを教えてくれたのは彼だ。
 彼のアパート。一緒に生活をした。甘い生活。甘い。
 結婚式を挙げたホテル。新しい私たちのスタート地点。
 ちっちゃい思い出がたくさんありすぎて、挙げたらきりがない。

 ひとしきり話をして、でもやっぱり、と言葉が止まった。


 私たちのきっかけ、と呼んでいる場所がある。

 大きな山の麓にある温泉宿で、卒業旅行を兼ねてゼミ生みんなで泊まりに行った。彼も途中から参加してくれた。
 ゼミのみんなとここに来てることは彼女には内緒ね。あの人、嫉妬して怒るからさ。
 そう言って携帯の電源を切る彼に、私たちは苦笑した。彼の彼女の嫉妬深さはよく知っていたから。
 よく食べて、よく飲んで、よく喋って、よく笑って。
 一つの部屋にみんなで寝転がって、明かりを消した後も名残惜しくてみんなで喋り続けていた。

 私の隣には彼。
 暗闇の中で何かの拍子に手が触れた。ちょっと躊躇して、そっと彼の指を握ったら、彼の手が握り返してきた。
 お互いに少しずつ体を寄せて、すごく自然に唇が触れた。

 ゆりちゃん、先に隣の部屋に行ってて。
 彼に耳元で囁かれて私は頷いた。



 でもやっぱり、と言葉を止めたら、彼が先に口を開いた。

 思い出の場所はさ、俺たちのきっかけの場所でいいんじゃない。
 うん。じゃあこの先あのテレビ番組みたいに思い出の場所に行くことになったら、あの温泉宿に行ってるね。
 あはは、なんか待ち合わせ場所を決めてるみたいだな。



 なんとなく、温泉宿には思い入れがある。私たちのきっかけの場所だけじゃなくても。
 一昨日は私たちの子供の1歳の誕生日。お祝いの記念日に彼が私たちを連れて行ってくれた所は温泉宿だった。





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2006年08月31日(木) by yuri [ Edit ]
cetegory : 場所のはなし / comments(9) / trackbacks(3) / -

オレンジのにおい

 朝起きた時にカーテンの向こうから明るい光が見えると、なんだかいつも嬉しくなります。
 きっと今日はいい日かもしれない。
 なんの理由もないのに、勝手にそう思ってしまうから。


 春が近い、この時期、青空を見るとふと思い出す場所があります。
 今住んでいるところからはちょっと遠い。
 私が今の仕事を始めるスタートになった場所。

 田んぼに囲まれた小さな学校のあるところで、春になるとチューリップの花がたくさん咲くところでした。
 地域の人たちがチューリップを栽培しているのです。

「ゆりちゃん、知ってる?春になるとね、この辺はオレンジのにおいがするんだよ」

 多分、え?という表情をしていたのでしょう。
 話しかけてくれた地域のおじさん(とおじいちゃんの中間くらいの人)は、くしゃくしゃの笑顔でした。
「この辺で作ってるチューリップでね、オレンジ色の、かぁわいいのがあるんだよ」
 まるで自分の孫の話をしているみたいな感じ。愛しそうに、ちょっと自慢げに。

 本当にオレンジのにおいがするから。春になったら見てごらん。


 仕事の都合で、春、チューリップがやっと咲き始める頃にその場所を離れなければなりませんでした。オレンジ色のチューリップを見ることなく。

 春のあったかい陽射しの中。
 ちょっと小ぶりでキュッと花びらを開く(…というのは私の勝手な想像だけど…)オレンジ色のチューリップは、青空の下にきっとくっきりと映える。
 そして、ふんわりと、オレンジのにおい。

 見たこともないのに、今朝もその風景を思い出しました。




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2006年03月24日(金) by yuri [ Edit ]
cetegory : 場所のはなし / comments(0) / trackbacks(0) / -

ホテルI

 好きなホテルは、と聞かれたら、私は迷わず「ホテルI」と言う。ホテルについて語るほど旅行にもいかないし、ホテルを使うこともないのだけれど。

 I(とてもイタリアっぽい名前)は、私が住んでいるところでは「老舗」といわれるホテルで、私もダンナさんも、私たちの家族までが大好きなのだ。私たちは結婚式もここで挙げた。
 たまぁにダンナさんと夕食を食べに行った。ちょっとした旅行気分のお泊りで。それから、ダンナさんと離れて暮らしていた時は、ふらりと一人で行ったりもした。(なんて贅沢な!!と思いながら。)
 温かみのあるスペース(ホテル全体の色合いもあるのかも)。新しくはないけれど、大切に使われてきていることを感じさせる家具。ソファの肘掛の、ちょっと剥げたところまでがなんだか愛しくなってしまうから不思議。
 バラをテーマにしたレストランの、重たく優雅な感じもたまらなく感じてしまうし、ホテルマンたちには親しみさえ感じてしまう。

 結婚式を挙げるために、何度も足を運んだからなのかもしれない。ホテルIの雰囲気やスタッフとたくさん接したからなのかもしれない。それでも。

 好きなホテルは、と聞かれたら、私は迷わず「ホテルI」と言う。


追伸
私たちの結婚式では担当のKさんにとてもお世話になりました。
Kさん、私たちはあなたが大好きです。






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2006年02月14日(火) by yuri [ Edit ]
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