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2012年09月01日(土) by スポンサードリンク [ Edit ]
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逢瀬、密かに。/2009.1.24

 お酒の席で、不意に彼が隣に座ってきた。
 お互いに何でもない表情をして、当たり障りのない会話。最初のうちは。


「キスしたい。」


 周りの人たちが他の話題で賑わう中で、掻き消されてしまうような彼の小さな声。


「ここで?」
「今すぐしたい。」
「みんなが見ちゃうよ?」
「じゃあ、抜け出そう。俺、出るから、ゆりも後から出てきて。」
「ん。」


 お店は川沿いのホテルの一角。店を出てホテルの外に出ると、眼下には大きな川。上にはくっきりとした星空。
「寒いねー。」
 先に出ていた彼の隣に立つと、後はもう彼の腕の中だった。あっという間に。
 久々に触れる彼の体。忘れちゃってもおかしくないくらい久々なのに、抱き締められた瞬間に全部思い出してしまう。
 愛しくて、嬉しくて、なのにちょっとせつなくて、甘えたくて、
「ゆり、どしたの?」
 名前を呼ばれて泣きそうになって。
「会いたかった。」
 キスをしてもっと欲しくなって。

 

 50メートルも離れてないトコロではみんながワイワイと騒がしく飲んでるのに。
 誰が突然店を出てくるかもわかんないのに。
 そんなのどうでもいいくらい、彼を抱き締めた。


 そして抱き締められた。貪るようなキスと一緒に。

 密かに。

2010年05月03日(月) by yuri [ Edit ]
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その言葉が私を強くさせる/2008.8.24

  挫けそうになるのは、しょっちゅう。
 覚悟している、とか言ってるくせに。


 周囲から聞く(聞こえてしまう)彼についての様々なハナシだったり、会える予定がダメになってしまうことだったり、メールで繋がりたい時にそれができない事実だったり、理由はいろいろで。
 その度に弱気な気持ちを彼に伝えてしまったり、リタイア宣言をしてしまったり、そうでなくても悶々と考え込んでしまったり。


 それでも。


「ゆり、愛してる」


 その言葉が。


「きっと愛し続けるから」
「早く会いたいね」
「ゆりと愛し合いたいよ」
「傍にいてほしい」


 その言葉が。
 私を強くさせる。
 私はやっぱり彼が好きなままだ。
 どんなに挫けそうになっても、彼の言葉がちゃんと私を繋ぎ止めてくれているから。
 好きでいていいのだという、自信をもらっているから。

2010年05月03日(月) by yuri [ Edit ]
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100年分の決心/2008.7.7

 簡単に言えば、苦しかったのだ。せつなくて、もどかしくて、どうしようもないくらい。
 今までに何度も襲ってきた、その感情に、負けたのだ。
 自分がどこまで耐えられるのか何度も考えて、自問自答して、胸が締め付けられる思いでメールを送った。100年分の決心をかき集めて。


 恋人関係を解消してもいいですか。

 

 わかったよ。

 


 メールを送った翌日に、私たちは会った。会ってしまった。
 彼の眉間には皺。
「なんでやめるなんて言うの?」
 会えないせつなさ、嫉妬の苦しさ、根本的な淋しさが溢れ出た。その一つ一つを正しく伝えるための言葉を必死で選んで唇に乗せる。
 彼は聞きながら何を考えていたのか。


「俺はすごくゆりのこと愛してるのに」
「私には伝わってこなかった」


 いつの間にか繋がれていた彼の手が泣きたくなるくらい温かい。こんな時にこれは反則だと思う。たったこれだけで、もう離れがたくなってしまうから。


「二人きりになれるところ、行こう」
 彼の言葉に首を横に振った。
「行かない。決心が鈍る」
 大嘘をついた。本当は今すぐにでも抱きしめたかったのに。抱きしめてもらいたかったのに。大嘘つきの意地っ張り。
 しばらく見つめ合った後、彼がふと視線を外した。
「わかったよ。…ゆり、もう帰りな」
「ん。帰る」
 泣き声にならないようにするので精一杯だった。顔を見せないように勢いよく立ち上がった。

 


 彼と別れて家の玄関に着いた時、携帯が小さく震えた。
 メールを開くと、そこには彼の名前。

 

 もっといっぱい愛するから、傍にいて。

 

 100年分の決心が砕け散った。
 あっという間に。

2010年05月03日(月) by yuri [ Edit ]
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ヒダリテノクスリユビ/2008.3.27

「わがまま言っていい?」
「なに?」
「お揃いでも、そうでなくてもいいから、あなたを感じられるものがほしい。」
「いいね。ゆりは何がいいの?」
「…指輪がいいな。毎日身に付けてたいから。選んでくれる?」
「いいけど…」


 でも、左手の薬指にはできないでしょ。結婚指輪、外せないんじゃない?
 と。彼の言葉は、いちいち心に刺さる。痛いくらいに。


 ヒダリテノクスリユビ。

 

「外せるよ。私が今したいのは、あなたを感じられるものなんだもん。」
「そっか。…ありがと。」

 


 ふと目に留まるたびに、想う。彼のこと。
 今、私の左手の薬指には、彼が選んでくれた指輪が。

2010年05月03日(月) by yuri [ Edit ]
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私は私の感情全部を受け入れる。/2008.3.9

 簡単に会えるわけでもなくて。
 会えたとしたって、人前ではお互いに話すこともなくて。
 ばかみたいにたくさんのメールを送り合うわけでもなくて。
 彼も私も、お互いだけが全て、ではなくて。

 頼れるものは、ただ、私は彼が好きだ、ということだけで。

 彼の「愛してる」も、彼との今までも、頼りなく感じてしまうことだってあって。
 不安で不安で不安で、切なくて、今すぐ欲しくてでも傍にはいなくていられなくて。


 不安切なさ悲しみ嫉妬疑念そんなもん。
 常に纏わりついてくるそんなもんを、だけど私は受け入れる。
 最初からわかっていたことだ。

 彼を好きでいるための感情全部を受け入れる。愛してるも、切ないも、全部。
 それができないなら、私は彼を好きではい続けられないと思った。彼と出会ってから覚悟を決めるまでの長い間で。

 だから全部を受け入れる。
 私は彼を好きでいるためなら、そのくらい、する。

2010年05月03日(月) by yuri [ Edit ]
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